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健診で血糖値を指摘された方に、お口の状態を見直していただきたい理由
健康診断でHbA1cの高さを指摘され、内科の主治医から「歯周病のケアも大切」と言われて戸惑っていませんか。歯周病と糖尿病は、互いに影響し合う関係が指摘されています。この記事では、両者がつながる仕組みと、今日から始められる3つの歯ぐきケアを整理してお伝えします。
この記事の要点まとめ
- 歯周病と糖尿病は炎症物質などを介して互いに影響し合う関係が指摘されています
- 歯周病治療が血糖コントロールの一助となりうるとの報告があり、日々のケアも大切です
- 通院時はお薬手帳の提示や内科との連携、衛生管理体制の確認を心がけましょう
糖尿病と歯周病が及ぼし合う「負の連鎖」の仕組み

歯周病は、歯ぐきと歯を支える骨に炎症が広がる細菌性の慢性疾患です。むし歯と違って痛みが出にくいため、気づいたときには進行していることも珍しくありません2。この慢性的な炎症が、糖尿病と深く関わっていると考えられています3。
歯周病の炎症物質がインスリンの働きを妨げる理由
歯周ポケットの中で細菌が増えると、歯ぐきの内側で炎症反応が続きます。このときTNF-αをはじめとする炎症性サイトカインがつくられ、毛細血管から血流に乗って全身をめぐると考えられています。
このサイトカインには、細胞が血液中の糖を取り込む際に働くインスリンのシグナルを妨げる作用が報告されています。つまりインスリンの分泌量が足りていても効きにくくなる「インスリン抵抗性」が高まり、血糖コントロールが難しくなる方向へ働きうると考えられているわけです3。歯ぐきという限られた場所の炎症が、全身の代謝にまで影響しうる。ここが見過ごせないポイントといえます1。
高血糖状態が歯ぐきの組織や免疫機能を低下させる影響
逆向きの作用も指摘されています。高血糖の状態が続くと細い血管の血流が滞りやすく、歯ぐきへ酸素や栄養が届きにくくなります。加えて、細菌と戦う白血球の働きが鈍る、傷んだ組織を修復するコラーゲンの生成が落ちるといった変化も報告されています1。
こうなると、同じ量のプラーク(歯垢)でも炎症が長引きやすく、歯を支える骨の吸収も進みやすい環境になりがちです。糖尿病では網膜症や腎症などと並び、歯周病も合併症のひとつとして位置づけられています3。片方だけを追いかけても連鎖は断ちにくい——内科と歯科、両輪で向き合っていただきたい理由がここにあります。
歯周病治療が血糖コントロールに与える良い影響とエビデンス
歯周病治療は「歯を守るため」だけのものではありません。全身の状態を整えるための一手としても注目されています3。
歯周病治療によるHbA1c改善の期待値と数値データ
歯石除去(スケーリング・ルートプレーニング)などの基本的な歯周治療を受けた2型糖尿病の方について、数ヶ月後のHbA1cが平均でおよそ0.3〜0.4%程度低い値を示したという報告が複数あります。日本歯周病学会もガイドラインの中で、歯周治療が血糖コントロールの改善に寄与しうるという考え方を示しています3。
とはいえ、これはあくまで平均値としての傾向です。すべての方に同じ変化が起こるとお約束できるものではありません。食事・運動・服薬という糖尿病治療の土台があってこそ意味を持つ、補助的な取り組みと受け止めていただくのが現実的でしょう1。
意外と知られていない!1型と2型糖尿病におけるリスクと対策の違い
1型はインスリンを作る細胞そのものの障害が背景にあり、2型は生活習慣なども絡んでインスリンが効きにくくなる状態が中心とされています。歯周治療によるインスリン抵抗性への働きかけという観点でいえば、2型のほうが血糖値への波及が報告されやすい傾向にあります。
ただ1型でも、高血糖が続けば歯ぐきの抵抗力は下がりやすくなります。若年期からの定期的なチェックをおすすめします。型にかかわらず「血糖値が安定しているほど歯ぐきの炎症は落ち着きやすい」という原則は共通です3。
今日から実践できる!血糖値を意識した3つの歯ぐきセルフケア
毎日の積み重ねが、専門的なケアの土台を支えます2。
ケア1:歯周ポケットに届く正しい歯みがきと清掃用具の活用
歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきの境目に45度で当て、力を抜いて小刻みに動かす。これが基本です。強くこするほど良いわけではなく、当てる位置と時間が要になります。歯と歯の間はブラシだけでは届きにくいので、デンタルフロスや歯間ブラシの併用を習慣にしてみてください2。
ケア2:唾液分泌を促し噛み合わせを考慮した食事の工夫
よく噛んで食べると唾液が増え、口腔内を洗い流す自浄作用が働きます。野菜から先に食べる、ゆっくり時間をかける。こうした食べ方は、食後の急な血糖上昇をゆるやかにする工夫としても知られています1。噛み合わせに違和感があり片側でしか噛めないときは、早めに歯科でご相談ください。
ケア3:生活習慣の見直しとストレス管理による炎症抑制
喫煙は歯ぐきの血流を悪くし、炎症のサインである出血が現れにくくなるため、発見が遅れやすくなると指摘されています2。睡眠不足や強いストレスも免疫の働きに影響します。禁煙・十分な睡眠・適度な運動は、血糖値と歯ぐきの双方に同時に働きかけられる習慣です1。
持病をお持ちの方が配慮を受けて通院するためのポイントと歯科選び

名古屋市にお住まいで、仕事の合間に通えるだろうかと気にされている方も多いはずです。少し準備を整えておくと、限られた回数でも話がスムーズに進みます。
内科主治医との連携とお薬手帳の提示など受診前の準備
受診時にはお薬手帳を必ずお持ちいただき、直近のHbA1cの数値もあわせてお伝えください。血糖降下薬や抗血栓薬の内容によって、処置の時間帯や進め方への配慮が変わってきます。空腹時の長時間の処置を避ける、抜歯などの外科処置の前に主治医へ確認を取る。こうした対応も、いわゆる医科歯科連携の一環です3。歯周病の基本的な検査や歯石除去は健康保険の適用範囲で受けられますので、費用面のご相談も遠慮なくお寄せください2。
衛生管理や感染対策設備(高圧蒸気滅菌器・口腔外バキューム等)の確認
感染への抵抗力が下がりやすい方にとって、院内の衛生管理は事前に確認しておきたいところです。当院では、ご来院いただく患者様に落ち着いて通っていただけるよう衛生管理に努めており、高圧蒸気滅菌器やタービン専用滅菌器による治療器具の滅菌、口腔外バキュームや高性能空気清浄機AIRDOGによる飛沫・浮遊粒子への対策、使い捨て製品の活用まで配慮しています。
院長の伊豆は、歯がグラグラの状態から歯周病治療と定期健診に通い続け、長く歯を保たれている患者様を何人も拝見してきました。だからこそ、定期健診とプロフェッショナルケアを歯の健康を保つための方法のひとつと考えています。3世代・4世代先まで通っていただける歯科医院として、お一人おひとりの体調に合わせてご提案いたします。
よくある質問
Q1. 糖尿病で最初に現れやすい症状にはどんなものがありますか?
A. 一般には、のどの渇き、尿の量や回数の増加、体重減少、疲れやすさなどが挙げられます。ただし初期は自覚症状に乏しいことも多く、健康診断の数値ではじめて気づく方も少なくありません。判断は内科の主治医にご相談ください。
Q2. 歯周病で注意したいサインを教えてください。
A. 歯みがき時の出血、歯ぐきの腫れや赤み、口臭の変化、歯が長く見える、噛んだときのぐらつきなどが目安になります。複数当てはまるようでしたら、早めに歯科でのチェックをご検討ください。
Q3. 糖尿病の薬を飲めば歯周病も落ち着きますか?
A. 血糖値が安定することは歯ぐきの状態にとってプラスに働くと考えられています。ただ、薬だけで歯周病そのものが治まるわけではありません。原因となるプラークや歯石への対処が欠かせず、両方への取り組みが基本になります。
Q4. 歯周病の治療は保険で受けられますか?
A. 歯周組織の検査、スケーリング(歯石除去)、ブラッシング指導などは健康保険の適用範囲で行えます。自費診療となるケアをご提案する場合は、内容と費用を事前にご説明します。
Q5. 通院はどのくらいの間隔が目安ですか?
A. 歯ぐきの状態や血糖コントロールの状況によって変わりますが、状態が落ち着いた後は数ヶ月に1度の定期健診を目安にご案内することが多いです。お仕事の予定に合わせてご相談ください。
参考文献
1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/
2. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(口腔・歯の健康)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/teeth
3. 日本臨床歯周病学会 公式サイト https://www.perio.jp/
愛知学院大学歯学部卒業
1997年
桃花台歯科勤務
2000年
伊豆歯科医院勤務
2001年
伊豆歯科開業(継承)
名古屋市介護認定審査会委員
LEVEL ANCHORAGE SYSTEM(LAS)
JIADS PERIO Course
