親知らずがお口のトラブルメーカーであることは、以前のコラムでもお話ししました。親知らずは、その他の永久歯とは生え方が異なったり、周りの歯を圧迫したりすることから、様々な症状を引き起こすリスクが高いです。
その中でも厄介なのがやはり「親知らずが痛い」という症状ではないでしょうか。痛い親知らずを放置していると、皆様が考えている以上に深刻なトラブルへと発展しかねないため、十分な注意が必要です。
今回はそんな親知らずの痛みの原因がむし歯や歯周病であるケースにフォーカスを当てて、放置するリスクが治療する方法を名古屋市北区の伊豆歯科が解説します。
■親知らずはむし歯になりやすい?
親知らずは、その他の歯よりもむし歯リスクが高くなっている点に注意が必要です。これは親知らずが生えてくる時期や生え方と関係しています。
親知らず以外の永久歯は、一般的に12~13歳くらいで生えそろい、歯並びや噛み合わせが完成します。それから7~8年程度、遅れて生えてくるのが親知らずであるため、多くのケースでまっすぐ生えるスペースが足りなくなり、生え方に異常を伴います。
皆様の親知らずも斜めに生えていたり、半分だけ埋まっていたりしませんか?そうした親知らずは、清掃性が低いことから歯垢・歯石がたまりやすく、むし歯リスクも高くなります。
◎むし歯で親知らずが痛いと感じる理由
親知らずがむし歯になっていて痛いと感じている場合は、もうすでにむし歯がある程度、進行している場合が考えられます。安静時にも親知らずがズキズキと痛いケースでは、歯の神経まで侵されている可能性が高いです。
ちなみに、親知らずのむし歯で痛いと感じるメカニズムは、通常のむし歯と変わりません。むし歯菌の活動によって歯の神経が刺激され、冷たいものや甘いものがしみたり、ズキズキとした自発痛が生じたりします。
◎親知らずのむし歯を放置するリスク
親知らずのむし歯が原因で痛みが生じているにも関わらず、何もせずに放置していると以下に挙げるリスクが生じます。
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手前の歯にむし歯がうつる
親知らずのむし歯を放置していると、手前の歯までむし歯になってしまうことがあります。親知らずは最終的に抜歯したとしても、歯並びや噛み合わせに与える影響は少ないですが、手前の第二大臼歯は、咀嚼機能を担う重要な歯なので、むし歯にならないよう注意が必要です。
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歯性感染症を引き起こす
親知らずのむし歯によって細菌感染が広がるのは、手前の歯だけではありません。親知らず周囲の骨や組織にも炎症反応や細菌感染が広がって、上顎洞炎(じょうがくどうえん)、顎骨骨髄炎(がっこつこつずいえん)、蜂窩織炎(ほうかしきえん)といった歯性感染症を引き起こすリスクがあるのです。
痛い親知らずを放置していて顎が大きく腫れるケースなどは、こうした歯性感染症を合併していることがあります。
■親知らずと歯周病の関係
親知らずは、歯周病とも強い関係があります。皆様も耳にしたことがあるかもしれませんが「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」というのは、親知らず特有の歯周病なのです。
その実体は、通常の歯周病と大差はありませんが、親知らずの特性上、進行が早い、重症化しやすいなどの注意点があります。上段で取り上げた歯性感染症は、親知らずのむし歯だけでなく、歯周病が原因なることもあります。
歯性感染症を発症すると、お口を大きく開けられない(開口障害)、食べ物を飲み込みにくい(嚥下困難)、リンパ節の腫れ、全身倦怠感などの症状が現れます。こうなると「親知らずが痛い」という範疇を超えて、食事や呼吸、睡眠にまで大きな弊害が現れていきます。
■親知らずのむし歯・歯周病の治療法
親知らずのむし歯や歯周病は、比較的軽度であれば、通常の方法で治療することも可能です。つまり、むし歯を削ってコンポジットレジンを充填したり、親知らずの周りの歯垢・歯石を徹底的に除去して、歯周病を治したりすることもできます。
その一方で、親知らずのむし歯や歯周病が進行していたり、セルフケアが困難であったりする場合は抜歯で対応することが多いです。事前に炎症反応を抑えた上で抜歯することで、親知らずが痛いという症状から解放されます。
同時に、親知らずのむし歯や歯周病が再発することもなくなります。
■まとめ
今回は、親知らずの痛みの原因がむし歯や歯周病であるケースについて、名古屋市北区の伊豆歯科が解説しました。
親知らずが痛いと感じたら、まずはむし歯や歯周病を疑いましょう。親知らずは真っすぐ正常に生えていることが比較的珍しいため、清掃性が悪く、むし歯・歯周病のリスクが高くなっています。
親知らずのむし歯や歯周病が原因で歯が痛くなるメカニズムは、通常と変わりありませんが、重症化しやすく、周囲の歯や組織に悪影響をもたらしやすい点には注意が必要です。そんな親知らずが痛いと感じたら、いつでもお気軽に当院までご相談ください。